現在30代の私が子供の頃には、カーナビなんて便利なものは無くて、車で親父と二人でどこかへ行く時には、結構地図を見るように言われたものでした。もちろん、親父は事前に地図を確認していたのでしょうが、運転しながら地図を見るわけには行かないし、若干あやふやなときに、この先この道どうなってるか見ろと言われるわけですね。
正直、親父は物事を教えるのが下手だったし、地図の見方や返答が要領を得ないと理不尽に怒られたりするわけですが、助手席に座っている者の役割として、地図を見るというのは我が家では、ごく一般的な役割として、定着していました。
その後、我が家ではカーナビの導入が遅れて最初のカーナビを導入したのは2004年。大学を卒業した私が給料をもらうようになってから自分で買ったものです。それまで、私の人生の中で20年以上はカーナビとは縁の無い生活を送ってきたわけです。
そんなわけで、我が家では、ドライブや旅行で地図を頼りに旅行をするのが非常に一般的でした。それに加えて、中学のときにワンダーフォーゲル(軽登山部)に所属していたのもあって、道路地図や、その他の大抵の地図も読めるので、住所さえ聞けば大抵の場所まで到達することが出来るのです。
ところが、最近では、カーナビの普及と共に家族がドライバーのために地図を見ることは減り、助手席とは、本来ドライバーをサポートする人が座る席のはずなのに、完全にお客さん状態となってしまっているように思います。
もちろん、地図を読むナビゲーターの指示が悪くて道に迷ってしまって家族旅行が台無しなんて事も有ったでしょうが、もう一度、地図を読むことの意味について考えてみたいと思います。
地図を読むときに最も意味があると思われるのは、頭を使うことです。地図を読んでドライバーに指示を与えるには、現在地がどこかを把握し、目的地までの最適な経路を判断し、地図に記された様々な情報から、障害が有る場合は回避したりが必要となります。
結果的に、指示が間違っていれば道に迷いますし、その結果正常なルートへもどるためのルート修正も必要となるわけですね。
ドライバーの皆さんなら、道に迷ったり道を間違えるって事は厄介ごとだし、出来るだけそんなことは避けて、出来る限り要領よくスマートに運転をしたいと考えるはずです。道を間違う事によって、事故を起こす可能性も多少上がるかもしれませんし、物凄く細い道に入り込んでしまって、バックするしかないなんて、悪夢ですよね。
でに、考えてみてください、あなたのドライビングテクニックが、そこそこのレベルに達しているとすれば、こんなに子供の能力を鍛える訓練は無いのではないでしょうか?車は、渋滞に巻き込まれている状況でなければ、絶えず50km~60kmの速度で移動していて、次々と判断を下してゆかなければ、判断が遅れてしまって、意味を成さなくなってしまうわけです。
とりあえず、地図を読むときに自分が現在いる現在地が地図上のどの場所か分かれば、地図を半分ぐらい読めたも同じです。それを刻々と変化する状況の中で行わなければならないのですから、子供さんには、相当難易度が高いことでしょう。教える側としても、地図を読む事を教えるというのは難しいことで、勢い、今どこや!、お前ちゃんと地図見てたんか!と語気が激しくなってしまうわけですね。これでは、子供さんも自信を失ってしまいますし、きっと、地図を見るのが嫌になってしまう事でしょう。人に物を教えるというのは、忍耐力を要求される事で、指導者にとっても日々が練習のようなものなのです。
決められた時間内で、最適ではないかもしれないが、何らかの回答を求められるという状況は、思考の速度をアップし、実践的な思考力を手に入れるためには非常に重要な訓練です。現実の社会では、無限に時間を与えられて判断させてもらえるという状況は殆ど有りません。場合によっては、判断の遅れは致命的な結果をもたらし、判断を下さない事=ミスを犯していないではなく、判断が遅いというミスを犯している場合が殆どです。早い判断力を身につけているということは、あなたのお子さんが、社会に出たときにきっと役に立つことでしょう。
地図を見てもらってよくあるトラブルに、実は、こう思ってたんだけど・・・というパターン実は、道が間違ってるんじゃないかな?って思ったのに伝えなかったり、自分が伝えた指示が間違って伝わっているんじゃないかな?って思ったのに、訂正しないパターンです。ドライバーは地図をしっかり見ることが出来ないわけですから、ナビゲーターは口頭でドライバーに指示を出さなければならない訳ですが、人に言葉だけで物事を説明するというのは難しいものです。しかし、これも非常に重要な訓練になると思いませんか?
一人で、仕事をするのでなければ、基本的には、何らかの報告をし合って作業を進めてゆくのがこの世の中です。ホウレンソウなんて言葉も有りますが、上司に状況を正確に報告出来ない部下は、上司の判断ミスを招いたりトラブルの原因になりがちです。
あなたのお子さんにも子供間から客観的で、正確な指示が出来るようにトレーニングするべきです。
なぜか分かりませんが、日本では地図を読むこと、読めることへの評価が不当に低いように思われます。しかし、考えてみてください。偉い人というのは、現地を直接見て指示を出すこともあるでしょうが、いちいち全ての場所には立ち会えないので、地図や図面を見て指示を出すことが多いはずです。古来、地図をみて、そこから情報を読み取れないようなエリートは必要ないのです。
もちろん、地図を見なくても指示を出せる職種や役割の人も多いかとは思いますが、そんな人でも、地図を読めるか読めないかは、きっと差が出ているはずです。
軍隊では、相手を攻めるときに絶対に地図を用意しています。日本に始めてやってきたペリーだって、江戸湾の水深を測量しているし、伊能忠敬が地図を作ったのだって、元は江戸幕府が国土を防衛するための基礎情報としての地図だったハズです。現在では、世界中で、地図が整備されていない場所など殆ど無いでしょうが、昔は地図を作ること=戦争の準備でもあったわけです。プロイセン陸軍では、参謀達に平時の旅行を奨励し敵国の地理に精通させ、作戦の立案能力を高めるように努力していたほどです。
それほど重要な、地図ですが、私の記憶では、小学校のときに申し訳程度に習った程度で、義務教育を通して地図が読めるようになるまで訓練を受けた記憶が有りません。
ここまで読んでいただいてどうでしょうか?地図を読む事はエリートにとってとっても大事な事なのに、学校ではしっかりとは教えていない(=多くのお子さんは地図が読めない)。あなたのお子さんが地図をしっかり読めれば、何らかのプラスがあるとは考えられないでしょうか?しかも、スピーディーな判断力を鍛える訓練にもなるんですよ。
学校でやらないとなれば、ご家庭で対応するのは当たり前、学校教育では、身につくことと身につかない事があるのです。あなたの大切なお子さんをしっかりした、お子さんに育てたいのならば、学校や塾に任せているだけではダメです。
次の世代を担えるのは、高いリーダーシップを持ち、人に自分の意思を伝えられる、スピーディーな判断力を備えた人物です。
自分の子供が言われたことが出来ないのは歯がゆいし、腹が立ちます。自分の子供の間違った判断で道に迷うなんて有り得ない思いをする人もいるでしょうが、人が能力を獲得するというのは、大変な事です。始めは出来るわけ無いんです。出来ないから出来るようになるまで訓練が必要なのであって、途中で投げ出してしまうようでは、あなたの親としての能力に疑問を感じます。
めげずに根気よく練習するようにして下さい。話せば分かる人なのですから、犬やネコにトイレを教えるよりは簡単です。家族でコミュニケーションを取る機会も増えるわけですが、家族のコミュニケーションを円滑にする効果も有るはずです。
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