Hangar7 トップ>ムービートップ>ビデオカメラ基礎>動画撮影の基礎 焦点距離の効果
レンズは光の屈折の中心となる主点と、光が一点に集まる焦点との距離で、特性を現します。これを焦点距離と呼び、焦点距離35~50mmを標準レンズ、概ね85mm以上を望遠レンズ、35mm以下を広角レンズと区分しています。ただし、素子やフィルムのサイズによって、焦点距離による効果は変化するので、35mmフィルムのサイズに換算した焦点距離で、表記することが有ります。実際の焦点距離を実焦点距離と呼び区別していますが、撮像素子やフィルムのサイズによって焦点距離が変化するのは計算も煩雑です。
像に歪みが無く、パースペクティブが自然。光学的には、原版(フィルムや撮像素子)の対角線長に近い焦点距離のレンズを標準レンズと呼ぶ。
標準レンズよりも焦点距離の長いレンズを指し、遠くの物を大きく映し出せる。歪みは少ないが、奥行き方向の距離感が圧縮され、ピントが合う範囲が狭く背景がボケやすい。また画角が狭いので、映りこむ背景が狭くなる。ドラマチックで非現実的な画作りとなりドラマや映画で多様される。また、奥行きが圧縮されるので、人ごみなどを撮影すると、実際よりも混み合って見える。
標準レンズよりも、焦点距離の短いレンズをを広角レンズと呼び、画角が広いので、より広い範囲が画面に入る。距離感が実際よりも強調され、ピントが合う範囲が広く、強い広角では、像が歪む。このような像の歪みを樽歪みと呼ぶ。
一定の距離にピントを合わせ続けたまま、焦点距離を連続的に変えられるレンズをズームレンズと呼びます。これに対して、焦点距離を変えられないレンズを単焦点レンズと呼びます。ズームレンズは便利ですが、画質では単焦点レンズの方が有利と言われています。ビデオカメラは、通常ズームレンズを装備しています。
ビデオカメラ、スチルカメラ双方とも非常に高倍率のズームレンズが一般化していますが、どのぐらいの焦点距離で撮影するとレンズの性能が一番発揮されるのかを撮影前に確認しておくと良いでしょう。望遠端では、解像度が低下するレンズも多く、意識して見てみると結構差が有るものですよ。
多くのビデオカメラでは、ズームレンズが装備されていて、しかも交換出来ない機種が多いため、否応無くズームレンズを使用する場合が多いのではないかと思います。焦点距離が自由に変えられて便利なズームレンズですが、便利には落とし穴がつき物。デジタル一眼レフ用のズームレンズでは、鏡筒部にズームリングが装備されていて、焦点距離のメモリが示されている場合が多いのですが、ビデオカメラや、コンパクトデジタルカメラでは、画面内に目安となるバーが表示されるだけで、いったい焦点距離何mmで撮影しているのか分からない機種が殆どです。特にビデオカメラの場合はその傾向が強く、それなりの上級機でも、実際の焦点距離を数値で表示するパターンは少ない。
そのため、広角~望遠までの範囲を無頓着に使用してしまうのです。せっかく違った表現が出来る機能が盛り込まれているのに、焦点距離による効果を使わないのはとっても勿体無いと思いませんか?
まずは、自分のカメラには35mm換算で何mmのズームレンズが装備されているのかを、マニュアルに書かれた諸元表で、確認し画面の端っこで、控えめに表示されているズームの表示バーに注目してあげれば、あなたのビデオカメラの潜在能力を何割かアップさせることが出来るはずです。
デジ一などのスチルカメラでは、交換レンズに単焦点レンズがラインナップされている場合が多いのですが、一般的にシャープな描写をするレンズが多く、キレが有るなどと言われます。レンズの長さを抑えたパンケーキレンズなどは、多少描写力が劣る場合が多いようですが、それでも、ズームレンズよりは高い描写力を持っています。
読者の皆さんはビデオで撮影を行うときに、どのように画角を決めているのでしょうか?上級者ならそんなことは無いはずですが、自分は被写体までの距離を変えずに、ズームレンズの焦点距離を変化させて、画角を調整している読者も多いのではないかと思います。
たしかに、これでも、良い場合も多いのですが、カメラのレンズを生かしたいならば、もう一歩踏み込んでカメラを使いこなして欲しいものです。そのためには、まず自分が表現したい映像を撮るためには、どのような焦点距離を選択するのが良いのかを先に判断するのです。もちろん、引き尻が無くて、大きな建物とか、遠くにいる鳥や昆虫を撮影するとなれば、選択の余地は有りませんが、何とか、工夫できないものかなと頭をひねるのも、練習のうちです。
焦点距離を選択したら、自分が移動して画角を調整しましょう。重い機材を移動させて、撮影するのは体力と手間のかかる作業となりますが、広角レンズで、いかにして被写体まで近づくのか?などと考えてみると中々楽しいものです。もちろん、望遠側へズームを調整して、思いっきり下がって撮影するのも有りです。
人物を撮影する場合には、カメラマンとモデルさんのコミュニケーションを図らなければならないので、あまりに離れるのは無理が有るかもしれませんけどね。
家庭用に販売されている民生機では、比較的望遠よりのズームレンズが搭載されているパターンが多く、40mm以上ぐらいでないと撮影出来ない機種も多く、室内では意外と撮りにくい場合も多いものです。このような場合に活躍するのがワイドコンバージョン(ワイコン)と呼ばれるオプションレンズで、カメラ前面のフィルターネジに追加のレンズを装備する事によって、より広い画角を得られます。逆に、望遠側をさらに強化したい場合にはテレコンバージョンレンズ(テレコン)を利用します。
このため、フィルターネジが切られていない、機種では特別なアダプターが必要だったり、オプションレンズを使用できない機種も有ります。カメラ屋さんに相談するなどしてから購入するのが無難です。
このようなオプションレンズは便利ですが、レンズ前面にねじ込んでいるだけですので、画質の低下や、ケラレと言って画面の四隅にレンズの縁が映りこんでしまうような不具合を生じる場合も有ります。また、ワイコンは搭載されているズームレンズでは、得られない広い画角を提供してくれる半面、広角レンズ独特の効果を得られない場合も有ります。特に、レンズ外周部のピントが甘くなりやすい特徴が有り、広い範囲にピントが合う広角独特の効果を得られない場合も有り、やはり、はじめから広角側が強いレンズが搭載されているのとは、違った、残念さが有ります。
とはいえ、広角レンズに近い画角を得られれば、撮影の選択肢を広げられます。レンズ交換の出来ないビデオカメラでは、ワイコンは是非欲しいアイテムの1つです。
素子のサイズが変わると焦点距離による効果が変わると冒頭で解説しましたが、これには35mmの焦点距離に換算しても解決しない問題も存在します。画角や距離感については、さほど問題無いと考えて良いかと思いますが、最も大きく差が出るのは被写体前後のボケの量です。大きな素子を搭載したカメラでは、大きなボケを得やすく、小型の素子では全体にピンが合った状態となりやすいのです。もちろん、背景が大きくボケているのが良いかと言えば、そうとは言い切れません。ですが、表現の幅が広がる事だけは確実で、被写体を背景から浮かび上がらせる効果も望めます。
最近では、やたらとボケボケと言う傾向も強く、本当にボケが強ければ良いのか?という疑問も感じます。また、ボケが大きくても、綺麗なボケでなければ意味がなく、被写界深度を浅くするために無闇に開放絞りで撮影するのは、浅はかな印象を受けます。開放から綺麗な描写を出来るレンズというのは、やはり少なく、実は2~3段絞った時の方が綺麗なボケ表現が出来るレンズも多い物ですよ。
ポートレート用などに開発された一眼レフ用中望遠大口径のレンズのようなボケと追求した製品と、暗所撮影を狙った明るいレンズは、全く別物です。
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